2018年01月30日

良書


年が明けたと思ったら、いきなりバタバタ・アクセクが始まり、そうこうしているうちにもう2月である。最近は、朝目覚めると心が陰鬱な気分にひたされていて、溜息とともに起き上がる日が続いている。つい先日、テレビかラジオで「血圧サージ」について話していた。これは高波のような血圧の急変動のことで、次のような要件を満たすとき、脳卒中や心疾患などの重篤な病気を引き起こすリスクが高まるらしい。

・冷え込んだ朝、暖かい家から外に出るとき
・休み明けの月曜の朝、仕事に強いストレスやプレッシャーを感じるとき

う〜ん、自分のことではないか。こんな幸薄い生活を送っていると、自分が何のために生きているのかわからなくなる。

そんな中にあって、唯一、人間らしい文化的な行為が読書である。しかし、最近は面白さに我を忘れて読むというより、こうべを垂れて考えさせられる本を読む機会が増えた。興味の赴くままに本を選んでいたら、自然とそうなってしまったのである。

例えば『未来の年表 人口減少日本でこれから起きること 』(講談社現代新書)。これを読むと、日本はもう終わっていることがよくわかる。何も悲観的な気分で言っているのではない。人口の推移という客観的で冷徹な数字が、消滅に向かって猛スピードで突き進む日本の姿をくっきりと浮かび上がらせているのだ。この本によると、200年後か300年後には日本の人口は2000人になるそうである。2000万人ではない、念のため。もちろんそのときには日本は日本でなくなっているだろうが、そこに至るまでの長い間に起きる修羅場を考えると……。「まさか」と笑い飛ばせる能天気な人は幸いである。私には、若い知人・友人、そしてその子供たちが不憫でならない。

『お金2.0 新しい経済のルールと生き方』(NewsPicks Book)も考えさせられる本である。インターネットは第一次産業革命に次ぐ大変革を社会にもたらしつつあるが、とりわけ経済分野は、これまでとはまったく違った世界に変貌しようとしている。最近ニュースで騒がれている仮想通貨もその一つだが、その本質を正確に理解している人はほとんどいない。まして、変革のどさくさにうまく立ち回って小金を手にしようというような低次元の話ではない。お金について考えるということは、いかに生きるかを考えることに他ならないと痛感させられる。

こんな肩の凝る本の合間、気分転換のために読んでいるのが『ギリシア人の物語』である。今から2500年も前に民主主義という政体を編み出した古代ギリシアのアテネ人。中でもアテネの黄金時代をつくりあげた政治家・ペリクレスの民主主義に関する演説は、もう見事というしかない。日本の国会議員や地方議員に、この演説の全文暗記を義務づけたらどうかと思うほどである。『ローマ人の物語』で堪能した塩野七生節も健在で、こういうものを良書というのであろう。『ギリシア人の物語』と『ローマ人の物語』を合わせると全30巻近くになるが、それにかける時間は決して無駄にはならない。友人や知人にそう力説するのだが、実際に読む人は皆無である。当時から2500年経って科学技術は進歩したが、人間は置いてきぼりを食っている。というか、どんどん後退していると思うのは私だけだろうか。


posted by ギャンブラー at 23:33| Comment(0) | 活字の楽しみ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする