2018年11月14日

悲劇の結末

悲劇は突然起こった。予兆など、何もなかった。気がつくと死骸が3体。いったい何が起こったのか・・・。

11月に入り、朝夕冷え込むようになった。熱帯魚がいる水槽の水温も25℃を下回ってきた。そろそろヒーターが必要な頃合いだと思い、サーモスタット機能のついたヒーターを水槽内にセットして、コンセントにつないだ。あとは放っておいても水温は25℃に保たれる。
しかし、ここで私は致命的なミスを犯してしまった。サーモスタットはセンサーがあって初めて機能する。そのセンサーを水槽に入れるのをうっかり忘れたのである。室温は20℃前後だったから、水温がどんどん上がっても、水槽の外にあるセンサーは20℃を感知したままだ。そのためヒーターは25℃にすべく水を熱し続ける。気がついたときは、3匹の熱帯魚は白い腹を上にしてプカプカ浮いていた。
業務上過失致死−−。相手が人なら私はすぐ牢屋行きだ。しかし、彼らはもの言わぬ小魚である。彼らにしてみたら、なんと理不尽なことであろうか。相手を釜茹でにした憎むべき刑事犯の私は罪悪感に苛まれながら彼らの遺骸を引き上げ、ベランダにあるプランターの土を掘り起こして埋めた。心で手を合わせながら。証拠隠滅という言葉がチラリと心に浮かんだ。

かくして、水を満々とたたえた水槽だけが残った。それまで水槽には10匹前後の熱帯魚が泳いでいたが、次々と寿命を迎え、最後に3匹だけが残った。彼らが天寿を全うしていなくなったら、私もこの趣味を封印するつもりでいたのである。経緯はともかく、熱帯魚がいなくなったのだから、あとは水槽を片付けるだけだ。ところが、水を全て抜いて砂を取り出し、その砂を乾燥させ・・・と結構面倒臭い。今度の連休までこのままでいいやと、いつもの悪癖が出て問題を先送りすることにした。

ところが翌日の夜、ぼんやりと水槽を見ていた私の脳裏に、一つのアイデアがひらめいたのである。熱帯魚だからヒーターが必要だった。だったら、ヒーターなどいらない在来種の川魚を飼えばいいではないか。そういえば、自分は昔からアユやオイカワなどの川魚を飼うのが夢ではなかったか。さすがにそれは無理だが、小型の魚なら飼える。いや、飼おう。
次の休日、私は行きつけの熱帯魚店にいそいそと出向き、川魚コーナーに突進した。そこで購ったのが、写真の魚である。名前を「イトヨ」という。トゲウオ科で、小さいながら鮭と同じ回遊魚である。環境省のレッドリストに載っていて、めっきり数が減っているらしい。そのせいか、1匹650円もした。寿命は1年と短いから、万全のケアをしてやろう。餌は配合飼料など論外で、冷凍赤虫にしよう。給餌は朝夕2回がいいだろう・・・と至れり尽くせりである。

そんな私の心と身体を操っているのは、理不尽な死を迎えた3匹の熱帯魚かもしれない。


イトヨ.jpg
posted by ギャンブラー at 00:15| Comment(0) | よしなしごと | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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