2020年06月21日

最近読んだ本


読んでいて気分が悪くなる本、というものがごくたまにある。例えば東野圭吾著『白夜行』だ。一言でいってしまえば、過酷な生い立ちを生き抜いたサイコパスの物語なのだが、その冷酷さに慄然としながらも、次はどうなる? とページをめくりたくなるほど、主人公の極めて特異な人格と世界観に興味を覚えてしまう。その根底には、「どうしてこんなモンスターが生まれてしまうのだろう」という、ある種の怖いもの見たさがある。

女帝 小池百合子』もそんな本だ。この本を読みながら、私は軽い嘔吐感を覚えながらも、ページをめくる手が止まらなかった。内容は書かない。ネタバレは好むところではないし、何よりいまは都知事選の真っ最中であり、下手なことは書きたくない。“自粛警察”が目を光らせる現代日本は、戦前の言論統制時代とそっくりだからである。日本が戦争に突き進んでいったのはすべて軍人のせいという人がいるが、実はそんな軍人を熱狂的に支持し叱咤する国民と、それを煽りに煽るマスコミを抜きにして戦前の日本は語れない。当時と現代が異なるのはただ一つ、こんな微妙な時期にこれほど権力者の実像を暴く本が出版され、誰でも自由に読むことができる点だ。
著者の石井妙子さんは『原節子の真実』で新潮ドキュメント賞を受賞しているノンフィクション作家である。ちなみにこちらの本も別の意味で非常に面白い。


posted by ギャンブラー at 21:01| Comment(2) | 活字の楽しみ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする